頸静脈視診は簡単に行えるので、心不全診療においてぜひ活用したいアセスメントです。
頸静脈は右心の手前にあるため、頸静脈が怒張しているということは、全身から心臓に向かう血管の「交通渋滞」が起きているということが考えられます。坐位で頸静脈が怒張していて、仰臥位にてその増強を認めれば静脈圧上昇を示唆します。
さらに呼吸困難や浮腫などの症候があればうっ血性心不全を疑います。これら頸静脈の3原則としてまとめますと、体位による変動がある(仰臥位で見えて座位で見えない)、呼吸性変動がある(通常、吸気で位置が下がる)、収縮期に陥凹するとなります。
ぜひアセスメントとして活用してみてくだい。
【問題】
次のうち正しいものはどれでしょうか?
①頸静脈には内頸静脈と外頸静脈がある。
②動脈と静脈の違いとして頸動脈は体位、呼吸、拍動の中枢側圧迫、腹部圧迫でも変化ない。
③外頸静脈と内頸静脈では、内頸静脈の拍動のほうが正確な右房圧を反映する。
③肺高血圧症や肺塞栓症などに伴う右心不全においても右心房圧が上昇し、頸静脈怒張を認める。
④内頸静脈の観察は、上半身を45度起こして呼気終期がいい。また枕をなくし、顎を少し上げて真正面向きでみると胸鎖乳突筋の緊張を緩めるためわかりやすい。
のぞみハートクリニック(大阪)
慢性心不全看護認定看護師
富山 美由紀
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