「横になると苦しい、座っているほうが楽」
心不全患者さんからはこのような訴えが多く聞かれます。左心不全の症状は、「肺うっ血による症状」と「心拍出量低下による症状」に分けられます。何らかの原因で左心系の機能不全がおこり、心臓から血液を送り出せなくなると、左心房・左心室の圧が上昇します。
「肺うっ血による症状」では、心臓から血液を送り出せていない分、戻ってこられない血液が存在しています。その血液は肺にうっ滞するので、肺胞は水浸しになります(肺水腫)。軽症では、動いた時の息切れ(労作時の呼吸困難感)を自覚しますが、重症になると安静でも「座っている方が楽」と自覚し起座呼吸を呈します。起座呼吸は、寝ていると静脈還流が増えるので、肺への血流量も増えますが、上半身を起こすことで静脈還流が減り自覚症状も改善します。
また、「咳や痰も多くなります」という訴えもありますが、これは肺の毛細血管圧が上昇するため、自覚症状とし初期から聞かれる事が多いです。自覚症状が心不全によるものか、肺疾患によるものか紛らわしい事もあります。身体所見や検査所見、発現状況などからトータルで見ていけると良いですね。
【問題】
左心不全の症状で間違っているものはどれでしょうか?
①夜間発作性呼吸困難
②喘鳴
③息切れ
④痔になる
ゆみのハートクリニック(東京)
慢性心不全看護認定看護師
髙圓 恵理
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