top of page

慢性心不全看護認定看護師より:第8回 右心不全症状

「お腹が張って、便の出が悪くなります」

心不全患者さんからはこのような訴えが多く聞かれます。全身を循環した血液は、心臓の右心房に戻ります。なんらかの原因で右心系の機能不全がおこり、心臓に戻るべき静脈系が全身でうっ滞し、諸臓器にうっ血、浮腫をきたす症状を右心不全症状といいます。

第6回「体重」でもお伝えしましたが、うっ血や浮腫は、全身に体液貯留を及ぼしますが、顔や下肢など外から分かるものと、肺や腸、肝臓など外からは見えないものがあります。腸や肝臓がうっ滞すると腸管浮腫やうっ血肝・肝腫大がおこり食欲不振、嘔気・嘔吐、腹部膨満感、腹痛、下痢、便秘など消化器症状をきたします。一般的に心不全患者において、右心不全の原因の多くは左心不全に続発して生じます。しかし、肺疾患、たとえば急性肺血栓塞栓症や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの肺疾患で起きるケースもあります。


【問題】

右心不全の症状はどれでしょうか?

①右季肋部痛

②陰嚢が腫れる

③痔になる

④前胸部の皮下静脈がはっきりする

⑤眼球結膜に黄疸がみえる



のぞみハートクリニック(大阪)

慢性心不全看護認定看護師

富山 美由紀




閲覧数:45回

最新記事

すべて表示

慢性心不全看護認定看護師より:第24回 身体所見のとりかた ③肺の聴診について

今回は肺の聴診についてお伝えします。通常、正常な呼吸数は1分間に12~18回でリズムも規則正しいですが、心不全を疑う呼吸困難などの時には、横になると呼吸が苦しくなるか、夜苦しくて目が覚めるようなことがあるかなど状況を聞いてみます(問診)。そして肺の音を聴き(聴診)、頸静脈が怒張していないか、浮腫はないかなどをみて(視診)、呼吸数や脈拍数を数えてみましょう。 【問題】 次のうち正しいものはどれでしょ

新型コロナウイルス感染症「地域で関わる皆さまへアンケート調査」

新型コロナウイルスの感染拡大を受け 、医療・介護従事者の皆さまにおかれましては、ご心労いかばかりかとお察し申し上げます。 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、日本では医療崩壊を防ぐために、重症者の治療とケアの観点から、高度医療を実施する医療機関を中心に注意が向けられています。 しかしながら、これからの地域医療を考えると、在宅など病院外の療養に移行した軽症患者への対応など、地域における医療提供体

慢性心不全看護認定看護師より:第23回 身体所見のとりかた ②頸静脈怒張について

頸静脈視診は簡単に行えるので、心不全診療においてぜひ活用したいアセスメントです。 頸静脈は右心の手前にあるため、頸静脈が怒張しているということは、全身から心臓に向かう血管の「交通渋滞」が起きているということが考えられます。坐位で頸静脈が怒張していて、仰臥位にてその増強を認めれば静脈圧上昇を示唆します。 さらに呼吸困難や浮腫などの症候があればうっ血性心不全を疑います。これら頸静脈の3原則としてまとめ

bottom of page