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慢性心不全看護認定看護師より:第6回 体重

「体重測定は月に1回ぐらいです」

在宅への訪問看護や老人ホームでは、体重を重要と考えて、定期的に測定することはあまりないかもしれません。しかし、心不全患者さんにおいては、体液量は多すぎても少なすぎても良くありません。そこで、わたしたちは心不全患者さんごとの至適体液量(=至適体重)を常に意識して診療・看護にあたっています。

心臓に入ってくる血液は、心臓を拡張し、収縮することによって駆出します。ちょうど大きく膨らませた風船が勢いよく空気を出すようなイメージです。しかし、心不全などでは心臓はうまく血液を駆出できません。体液量(前負荷)が過度にあると、うっ血となり肺や全身に体液貯留を及ぼします。顔や下肢のむくみなどは分かりやすいのですが、実は目に見えていない肺や腸、肝臓などにもうっ血、体液貯留がおきています。これらを総合的にかつ簡便に測定できるのが「体重」です。

ある報告によると、心不全患者さん自身も体重増加を意識することを重要と考えていないなど、セルフケアのひとつに体重の変化を意識するよう指導する必要があると考えます。これから暑くなり脱水にも注意が必要ですが、体重の推移を意識してみましょう。


【問題】

体重はうっ血の指標になると思いますが、次のうち最もうっ血の可能性があるのはどれでしょうか?

①1年で体重が5~6㎏増加した。

②3ケ月で体重が3~4kg増加した。

③1週間で体重が2~3kg増加した。



のぞみハートクリニック(大阪)

慢性心不全看護認定看護師

富山 美由紀




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