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慢性心不全看護認定看護師より:第18回 栄養管理① 総論

心不全といえば、とりあえず塩分制限?


心不全のステージはA・B・C・Dと4つのステージがあり、ステージに応じた栄養管理が必要となります。

ここでは、ステージCとステージDについてみていきます。

心不全発症後のステージCは、適正なエネルギーを摂取しつつ体液貯留の誘因となりえる食塩摂取量の適正化を目標に、塩分制限を中心とした栄養指導になります。高齢心不全患者で、塩分制限によって必要なエネルギーの確保が困難になる場合は、エネルギーの確保が優先となります。

ステージDに進行し栄養状態が悪化してくると、図(添付画像参照)のように適正なエネルギー摂取の優先度がより高くなります。また、食欲不振・悪心嘔吐などの終末期の病態に対して配慮も大切です。食事に関しても、QOLという視点をもとに制限中心の栄養指導から嗜好重視への栄養サポートが求められるようになります。


【問題】

誤っているのはどれでしょうか?

①心不全では、酸素消費量が増え基礎エネルギー消費量が増加する。

②心不全では、炎症性サイトカインや交感神経活性の低下により安静時エネルギー消費量も低下する。

③消化管の血流低下や腸管浮腫による消化管機能低下により食欲不振が起こる。

④肝うっ血は、吸収した栄養素からアルブミンを合成する同化作用が低下する。



ゆみのハートクリニック(東京)

慢性心不全看護認定看護師

髙圓 恵理




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