top of page

慢性心不全看護認定看護師より:第13回 セルフケア概論 (後編)

心不全患者さんのセルフケア指導に難しさを感じることはありませんか。

セルフケア概論(前編)でお伝えした心不全の増悪因子の中には、セルフケア支援で約50%の再入院が予防できると言われているくらい、療養生活そのものが関与しているものが多くあります。それくらい、心不全においてはセルフケアが重要とされています。


心不全患者のセルフケアは、「セルフケア・メンテナンス」と「セルフケア・マネジメント」で成り立ち、それらは「セルフケア・コンフィデンス」の影響を受けます。


セルフケア・メンテナンスは、心不全を安定化させるための行動で、心不全の症状と徴候を確認する「症状モニタリング」と、適切な内服・生活管理や定期的な外来受診など、心不全増悪を予防する行動の「治療アドヒアランス」から成り立っています。


セルフケア・マネジメントは、心不全が増悪した際の意思決定の過程を反映しており 症状・徴候の認識 症状・徴候の評価 適切な療養行動の実行 療養行動の評価からなっています。


セルフケア・コンフィデンスとは、「セルフケアを行う自信」のことでセルフケアを行う上で土台になるものです。


【問題】

次のうち、誤っているものはどれでしょうか。

①セルフケア能力を向上させることにより、生命予後の改善が期待できる

②セルフケア能力を向上させることにより、QOLの改善が期待できる

③症状モニタリングは、心不全増悪の症状・兆候を早期に発見に役立つ

④退院後の受診頻度は再入院のリスクと関連しない



ゆみのハートクリニック(東京)

慢性心不全看護認定看護師

髙圓 恵理




閲覧数:127回

最新記事

すべて表示

慢性心不全看護認定看護師より:第24回 身体所見のとりかた ③肺の聴診について

今回は肺の聴診についてお伝えします。通常、正常な呼吸数は1分間に12~18回でリズムも規則正しいですが、心不全を疑う呼吸困難などの時には、横になると呼吸が苦しくなるか、夜苦しくて目が覚めるようなことがあるかなど状況を聞いてみます(問診)。そして肺の音を聴き(聴診)、頸静脈が怒張していないか、浮腫はないかなどをみて(視診)、呼吸数や脈拍数を数えてみましょう。 【問題】 次のうち正しいものはどれでしょ

新型コロナウイルス感染症「地域で関わる皆さまへアンケート調査」

新型コロナウイルスの感染拡大を受け 、医療・介護従事者の皆さまにおかれましては、ご心労いかばかりかとお察し申し上げます。 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、日本では医療崩壊を防ぐために、重症者の治療とケアの観点から、高度医療を実施する医療機関を中心に注意が向けられています。 しかしながら、これからの地域医療を考えると、在宅など病院外の療養に移行した軽症患者への対応など、地域における医療提供体

慢性心不全看護認定看護師より:第23回 身体所見のとりかた ②頸静脈怒張について

頸静脈視診は簡単に行えるので、心不全診療においてぜひ活用したいアセスメントです。 頸静脈は右心の手前にあるため、頸静脈が怒張しているということは、全身から心臓に向かう血管の「交通渋滞」が起きているということが考えられます。坐位で頸静脈が怒張していて、仰臥位にてその増強を認めれば静脈圧上昇を示唆します。 さらに呼吸困難や浮腫などの症候があればうっ血性心不全を疑います。これら頸静脈の3原則としてまとめ

bottom of page