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慢性心不全看護認定看護師より:第10回 低心拍出症候群

「疲れやすくなっており、寝ていることが多くなっています」

訪問看護師さんからこのような訴えを聞くことがあります。心不全の症状には、うっ血症状(静脈性うっ血:右心不全と肺うっ血:左心不全)、そして今回お伝えする低心拍出症候群があります。

低心拍出症候群とは心ポンプ機能低下が引き起こす低心拍出状態のことで、末梢循環障害による骨格筋の代謝異常などが起こり、全身倦怠感・易疲労性を感じます。心ポンプ機能低下は肺・腎・肝・脳をはじめとする重要組織はもちろんですが、筋肉などにも血流が不足し、必要な酸素が運ばれない、疲労物質が代謝されないということが起こります。しかし一般的に高齢者は症状が非定型的であり、心臓そのものの病態に加えて貧血や慢性呼吸器疾患など多くの併存因子が関与していると思われます。この低拍出量症候群をきたす心不全症例は、予後不良であることも多くの研究結果から示されています。

3回にわたり左心不全、右心不全、そして低心拍出症候群と、心不全患者さんの症状と病態について説明してきました。心不全の症状は、病態の把握だけではなく、予後不良因子にもなります。心不全患者さんをみたら、まずはどのような症状で困っているかを聞くようにしましょう。


【問題】

そのほか低心拍出の症状はどれでしょうか?

①記銘力低下

②乏尿

③夜間多尿

④四肢冷感



のぞみハートクリニック(大阪)

慢性心不全看護認定看護師

富山 美由紀




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