心不全の方は、たくさん動いたらダメでしょうか?
心不全症状の増悪因子の一つに過剰な身体活動量(過労)があります。心不全患者さんは入院中に身体活動量を制限するように指導されますが、在宅生活を送る上でその制限を守ることは難しい症例を診ることがあります。
病識が不十分な場合だけでなく、病識は十分でも環境や役割が身体活動を過剰にする場合もあります。一方で、動くことへの恐怖心から過度な安静となることでフレイルの進行が懸念される患者さんもいます。そのため、どの程度の強度の身体活動であれば許容できるのかを見極めることが必要となります。
身体活動により強い息切れや心不全症状の増悪が出現するのは、心臓が身体活動の需要に応じることが難しくなっているサインだと言えます。実際にその活動をした際の息切れなどの症状やリカバリー時間、活動日記などで期間を通して身体活動をみていくことで適切な身体活動量がみえてくるかもしれません。
動作方法の効率化や、環境を調整することで同じ動作でも負担を軽減できることがあります。休憩のタイミングの調整、息まないように呼吸を意識しながら動作をすることも大切です。色々な活動に手を着けず、身体活動に優先順位を持たせることが、過労の予防につながります。
【問題】
運動強度の高いものから順に並べてみましょう。
①普通歩行(67m/分)
②ゆっくり階段を上がる
③掃除機かけ
④苗木の植栽
ゆみのハートクリニック(東京)
作業療法士
左嵜 壮一郎
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